富士山
3776m

2008/4/26〜27




























吉田口登山道七合目付近。テントのフライは引き裂かれ、激しい風は夜が明けてもおさまることはありません。山頂アタックの予定でしたが、シュラフの中にもう少しとどまることにしました。 うるさいほどにテントを叩く風がおさまると、テントをたたみ上を目指します。時間的に、山頂にはとどかず本八合で戻ります。
下り始めると単独の男性。ピッケルはもちろんアイゼンもストックも持たず、靴はハイキングシューズ。滑りながら四つん這いになって、それでも登ろうとしています。聞けば中国人。
「危ないから下りたほうがいいよ。」
ほかっておくこともできず、ザイルを出して、確保しながら下ろすことにしました。凍った斜面。アイゼンなしでは、まともに歩くことはおろか、滑って立つこともできません。
シュリンゲで簡易ハーネスを作り、カラビナに50メートルのザイルを結び下降を繰り返します。
「急いで。日が暮れる。」
日が暮れたら厄介だ。時間切れで自分たちも降りれなくなってしまう。ヘッドランプはすぐに出せる場所に。
「救助要請しましょう。」

山梨県警から電話が鳴る。
「ヘリコプターの手配はできました。そちらの天候はどうですか?」
「晴れてます。」
「風はありますか?」
「微風。」
7合目を過ぎると、雪は腐り、歩きやすい状態に変わりました。幸運です。ザイルももう必要ありません。
「ヘリコプターはいりません。なんとか自力で下れそうです。」
日が暮れる前に、なんとか五合目に下ることができました。




稜線の風に吹かれて



inserted by FC2 system