常念岳(北アルプス)
2857m
2000/5/3〜6






































5月3日。
一ノ沢林道より、令沢小屋付近に車を止めます。 ランクルのリヤのベッドを広げ、しばし仮眠。 コンビニで買った、おにぎりをほおばり、いざ出発。 テントにシュラフ、4日分の食料を詰め込めば、 70リットルのザックも、ぱんぱんです。 背負うだけで一苦労。重い荷が肩に食い込みます。 一ノ沢登山補導所で、登山計画書を提出し、 歩き出せば、道にはすぐに雪。 両手に持ったストックで、足元を確かめながら前に進みます。 沢沿いの道を、歩けば次第に雪は深まります。 登山靴にアイゼンを。 緩やかな登りが続きます。 広い沢一面に、真っ白に降り積もった雪は、まだ新しく、 ここはまだ冬です。 大規模な雪崩の跡が、広い沢を埋め尽くしていました。 雪崩の脇についた踏み跡に従って、 さらに谷を奥へと向かいます。 坂は次第に勾配を増します。 雪崩の心配もあるので、休む場所も考えます。 スキー場の上級ゲレンデのような坂を這い上がります。 夏なら葛折れの道も、今は、直登です。 重い荷が辛い。きつい坂が続きます。 さらに、白い坂は勾配を増します。 振り返れば、吸い込まれそうな坂。 一歩がきつい。 常念小屋のアンテナが見えました。常念乗越2644m。 テント場に到着。 ビールがうまいです。

5月4日。
常念乗越を、ベースキャンプとし、 大天井岳2921.9mを目差します。 強風に飛ばされたのか、 横通岳2767.0m東斜面は雪のついていない部分が多かったです。 本日も、晴れてはいるものの風が強く、 稜線を歩くのに不安を感じます。 朝日が、自分たち2人の影を 谷の底へ深く伸ばします。 目線を上げれば、はるか向こうに、涸沢小屋。 白い雪原に、テントの花が咲きます。 風を避けて小休止。 アイゼンを装着。 新雪が、道を覆い、 まばらな踏み跡をたどるのは、やはり不安です。 地図と磁石で、現在地を確認。 友人の地図は、風に飛ばされてしまいました。 雪崩の心配のないルートを選びます。 東天井岳2814mの脇に出ることができました。 槍ヶ岳3180mが、雲の中から見え隠れします。 稜線に沿って、北東に向かえば、大天荘に出れるはずです。 2832のピークを乗り越え、さらにもう一つのピーク。 これを越えると、大天荘が見えました。 大天荘にザックを置き、大天井岳2921.9m三角点へ。 ここが、今回行程の最高地点になります。 ザイルにヘルメットをかぶったパーティーが西尾根を下って行きました。 ザックまで戻り、コンロで雪を溶かし、ラーメンを作ります。 常念乗越のベースへ戻ります。

5月5日。
快晴です。 朝食前に日の出をカメラに収め、 今日は常念岳2857mへ。 風もなく、静かな山肌に、 アイゼンが雪を噛む音だけが響きます。 小一時間で山頂に着きました。 ここからの展望は素晴らしく、 雲一つなく、まさに大展望が得られました。 今朝出発前のカメラの故障が悔やまれます。 しばらく眺めを楽しんだ後、 前常念岳2661.8mへ。 雪の着いた痩せ尾根を東へ下ります。 無風の、最高の条件ですが、 場所によっては、足がすくみます。 踏み跡もまばらです。 気持ちよい尾根歩きで間もなく 前常念岳2661.8mへ到着しました。 雷鳥に会うことができました。 昨年の白馬に続き二度目です。 今回はブチの、つがいの雷鳥でした。 さらに下れば、三股へ下りれるはずですが、 今回は引き返します。 雪がなければ、常念小屋まで、トラバースのルートがあるのですが、 雪崩の危険のため、これは使えません。 来た尾根を、登り返します。 この山域のどこかで、雪の崩れる音がこだましました。 11時過ぎには、本日の行程を終え、 テントで、ウイスキーに昼寝。

5月6日。
下山の日です。 最後の米を使い果たし、朝食をすませ、 テントの撤収。 荷物をまとめ、一ノ沢へ下ります。 崩れそうな、雪庇を横目に、 気温の上がらないうちに安全な場所まで。 斜面には、山スキーのシュプールがありました。 上で板を持った人を見ましたがここを下りたのでしょうか。 樹林帯まで下れば、一昨日の強風のためか、 木の枝、木の葉が散乱してました。 3日前と比べると、随分、雪も溶けたようです。
午前10時過ぎ。 「ほりでーゆー四季の郷」 露天風呂より、常念が奇麗に見えました。




稜線の風に吹かれて


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