稜線の風に吹かれて

鋸岳
12/30~1/1
2685m

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 一年前、同じ計画は荒天のため実行できず、そのリベンジです。
 2008年12月30日、朝7時50分戸台駐車場に到着。パーティー4名、支度を整え共同装備を分担し戸台川に沿って河原を歩き出します。昨年とは違い河原に全く積雪はなく幕営地で雪から水を作るつもりが、角兵衛沢出合で水をくみ持上げることにしました。各自2リットルの水がザックの重量をさらに増すことになります。荷が少なくても大変な急登は、重い荷が皆を無口にさせます。ここを登りきって大岩下の岩小屋。ここを幕営地とすることにしました。
 31日、2日目が核心になります。テントをたたみ、アイゼン、ゼルベストを装着。ガレた沢、樹氷は美しく、薄い空気が標高の高さを感じさせます。角兵衛のコル。目出帽にヘルメット、風は強くヤッケのフードを立てます。ピッケルを頼り枝につかまりながらトレースのない雪稜を登りきると第一高点。鋸岳の山頂です。でもここはあくまで通過点。核心部はこの先にあります。
 小ギャップをザイルを使い懸垂下降。鎖をつかみ登り返し、鹿ノ窓からさらに進みます。気を休める暇もなく険しいルートが続きます。大ギャップ。枯木を支点にして二度目の懸垂下降。狭いコルに立ちます。ピッケルのピックが刺さらぬほどに硬く凍ったルンゼ。アイゼンの歯を頼りに下降。落石。振返ることも躊躇するような微妙な斜面で落石が自分たちパーティーを襲いました。
 「落。落。らーく。」
 振返る間もなく自分の左足に、20センチほどの岩が激突。
 「やばい」
 こらえたまま振返ると、10から20センチの岩がいくつか上から降ってくる。
 「きゃー。」
 身をすくめる同行者。彼女の頭に岩が直撃したようです。もちろんヘルメットは着用。足元がふらつき少しだけ滑ります。すぐ下の自分がピッケルを打ってこらえます。
 「大丈夫?」
 自分のほうは無傷。彼女は耳を負傷したもののなんとか自力で動くことができるようです。危険箇所から脱出。後続の別パーティーが、懸垂下降中に岩を落としたようです。岩を受けてバランスを崩して、あるいは滑落。一歩間違えば大変な事故になっていました。雪の吹溜りをラッセルで登り返し第二高点。展望が広がります。中ノ川乗越にてテント設営。年越はここですることになります。大事をとって計画は中断。駒ケ岳から北沢峠への行程はあきらめて、翌一日、熊穴沢を下ることにしました。予定より一日早い下山でした。


08/12/30
08:30 戸台駐車場
10:45 角兵衛沢出合
13:45 大岩下の岩小屋

08/12/31
06:40 大岩
   角兵衛のコル
10:10 鋸岳第1高点
10:30 小ギャップ
11:20 鹿ノ窓
12:20 大ギャップ
14:15 第2高点
14:25 第2高点
14:55 中ノ川乗越

09/1/1
07:35 中ノ川乗越
10:05 河原
12:10 戸台駐車場
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